労働問題 残業代請求の解決事例

2021/06/03
労働問題 残業代請求の解決事例

残業代請求の解決事例

残業代と退職慰労金を合わせて740万円の請求が認められた事例

Aさんの場合
<相談を受けた段階>
 ご相談を受けた段階では、ご相談者の方は、事務職で約20年にわたって仕事に従事したのちに退職したが、就職時には退職金制度がある旨説明を受けていたにもかかわらず、退職時に退職金規定の存在を尋ねたところ、ごまかされてしまった。退職金の件については、不信感をもっているので、請求が可能であれば請求したいとのことでした。
 また、在職中は、昼の休憩や休日を削って、懸命に労務に従事していたことをお話しされていましたので、残業代請求についても検討することとしました。

<弁護士介入後の解決>
 昼の休憩時間や休日出勤について、本人の申告を基に概算で計算したうえで残業代として合計約410万円を請求し、相手方との交渉により概ね当方の請求を認めてもらい、400万円を支払ってもらいました。
 また、退職金については、相手方の会社が従前、中退共に加入しており、少なくとも依頼者が在職中の期間も退職金制度を有していたらしいこと、他の退職従業員との均衡などから、相手方代理人弁護士と交渉により、退職金340万円を支払ってもらうことで解決しました。

約2か月のスピード解決

<事件解決のポイント>
 残業代や退職金請求権の存在を立証する客観的な証拠に乏しい事案でしたが、職務の内容、会社の人的体制の状況、時間管理の不十分さから、多くの時間外労働の請求を認めてもらえたこと、他の従業員との均衡や従前の中退共加入の事実などから退職金請求を認めてもらえたことが良かったと思います。
 また、残業代・退職金請求のいずれも交渉による解決であったことから、ご依頼を受けてから約2か月で入金を含めたスピード解決ができた点もよかったと思います。

スケジュール管理ソフトのデータや仕事の成果物の資料から残業代420万円が認められた事例

Bさんの場合
 <相談を受けた段階>
 ご相談を受けた当初からスケジュール管理ソフトのデータや時間外に取引先に送信したメールの履歴などの仕事の成果物を証拠として準備いただいており、それに本人の申告を基に陳述書を作成して、残業代を計算し請求する依頼を受けました。

<弁護士介入後の解決>
 残業代を計算した結果、証拠上時間の特定が難しいものも含めて560万円を請求することとしました。
 当初、相手方である会社の代表者は、弁護士に委任することなく、当方の依頼者が辞めることとなった経緯などを踏まえて残業代の減額を求めていましたが、当方が法的手段を採る予定である旨を伝えたところ(労働審判を提起する)、相手方も弁護士に依頼しました。
 そして、相手方弁護士と交渉した結果、相手方も当方も早期解決を希望するということで、合計420万円のうち200万円を合意した月の末日までに支払い、その翌月までに220万円を支払ってもらうということで合意しました。

約3か月の早期解決

<事件解決のポイント>
 当方としては、証拠上残業時間の特定が難しかったことや相手方弁護士との細かな金額の調整もあったが、受任から最終入金まで約3か月なので早期に解決できた点もよかったと思います。

判決により,未払残業代約82万円の請求が認められ,遅延損害金を含む約100万円の回収を行った事例

事件の概要Tさん(男性・退職当時)は,寝装具等の卸業等を主たる業務とする会社において営業職として従事し,入社後数か月間にわたり100時間を超える時間外労働を強いられ,同社を退職するに至りました。
Tさんは,その間の未払残業代金を求め,約87万円(遅延損害金等を含まない額)を会社に請求しましたが,会社側は,未払残業代については,残部を放棄する前提でその一部を受け取った旨のTさんとの合意がある等と主張し,残業代の支払いを拒みました。
上記経緯により,会社との交渉では合意に至らなかったため訴訟提起に至りました。
主たる争点訴訟においては,休日における残業時間の範囲,労働時間該当性(被告の指揮監督下の労働といえるか)及び残業代を放棄するという合意書の有効性が争点となりました。
弁護士による
訴訟活動
Tさんは,会社の管理するパソコンを使って仕事をしていましたが,同パソコンにはTさんの自宅のパソコンからもログインできたことから,休日は自宅で作業を行い,成果をメールに添付する形で上司や取引先に送付していました。
そこで,休日においては,最終的にメールを送信した時刻を終業時刻,終業時刻から添付した成果物を作成するのにかかる時間を遡った時刻を開始時刻として残業代金を算定しました。
尋問に際しては,Tさんの直属の上司(Y)に対して,Tさんへの具体的な指示の有無,休日残業を行っていたことの認識等を確認する予定でしたが,Yが証人尋問の呼出しに応じない事態となりました。
そこで,Tさんご本人と会社の代表者に対する尋問において,Tさんからは残業時に行った具体的な業務内容(特に休日に行った業務の内容),同作業に要する時間,休日の残業を具体的に証言してもらい,代表者に対しては,代表者がTさんの残業を認識していたと思われる具体的な事情を反対尋問により詳細に聞き出す等の立証活動を行いました。
残業代の大部分を放棄するといった内容の合意書(Tさんの署名捺印あり)の存在については,使用者と労働者との間の合意に関して,労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在しなければ無効である旨の判例に照らし同合意は無効であると主張しました。
判決判決内容は,会社に対して,Tさんに対する約82万円の未払賃金及び遅延損害金の支払いを命じるものでした。
理由中,休日の時間外労働に関する労働時間該当性については,「電子メールの授受の日時や原告の業務の遂行状況から原告が休日に被告の業務に従事していることを認識していたものと認められる。」「Yが原告に対し,業務従事を止めるよう指示することなく(弁論の全趣旨),かえって土曜日に翌週までに業務を行うべき指示したり(原告本人尋問),…業務上の連絡を行っていた。」「以上によれば,原告の休日の業務従事時間は少なくとも黙示的な被告の指揮監督下においてなされたものとして労働時間と認めるのが相当である。」とされ,休日の労働時間について当方の主張をほぼ全面的に認めました。
また,会社が主張していた合意書については,「原告の労働債権放棄ないし和解の意思表示が原告の自由な意思表示に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が存在するとは認められない」として,合意は無効としました。
弁護士の所感本件は,立証が困難と思われた休日における時間外労働の労働時間該当性及びその時間の範囲について,成果物に要する時間や上司からの要求・上司への報告等の事実について具体的に立証した結果,直属の上司に対する尋問の機会が得られなかったにもかかわらず,当方の主張が全面的に認められた点に特徴があります。

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