自己破産 よくある質問

2021/06/12
自己破産 よくある質問

【自己破産】

・どのような場合に自己破産をするのがいいのでしょうか?

  • 自己破産は、多額の債務があり、保有している財産では、弁済することができなくなったときに申立を行うことにより、返済義務を免れ(自然人の場合であれば免責を受けることにより返済義務を免れられる)、経済的な立直りを目指す時に利用する制度です。
  • 自己破産の手続きを他の債務整理の方法と比較すると、(自然人の場合であれば免責を受けられれば)返済を続ける必要がなくなることが最大のメリットであり、自己破産申立を行うにあたって収入がない場合や収入が少ない場合にも利用することができます。
  • また、自己破産後に得た収入(厳密には破産手続開始決定後に生じた原因に基づき得た収入)については、申立をした方の自由に使用することができるので、早期に経済的な立ち直りを目指すことができることもメリットといえます。

・自己破産の手続きが終わるまでには、どのくらいの期間がかかりますか?

  • 自己破産手続にかかる期間については、裁判所が、同時廃止事件として取り扱うか、破産管財事件として取り扱うかによって大きく異なってきます。
  • まず、同時廃止事件として取り扱われた場合には、自己破産の申立を弁護士に依頼してから、一般的には、約3か月から6カ月くらいであると考えられます。
  • 次に、破産管財事件として取り扱われる場合には、自己破産の申立を弁護士に依頼してから、一般的には、約6か月から1年くらいであると考えられます。

・自己破産申立の手続を弁護士に依頼すると、どのようなことをしてもらえるのでしょうか?

  • まず、弁護士は自己破産申立の依頼を受けると、債権者に対して受任通知を送り、債権者対応の窓口を一手に引き受けます(なお、滞納税金については、自己破産手続きにより免責されることはなく、弁護士が受任通知を送ったり、窓口として対応することは通常ありません)。
  • そして、債権の調査及び財産の調査を行います。また、破産に至る経緯についての文書作成など、裁判所への提出書類の作成及び収集をご依頼者様と共に行い、自己破産の申立を代理人として行います。
  • さらに、自己破産申立後も、裁判所からの追加の書類の提出や書類の補正の依頼への対応を行い、裁判所から要請のあった場合には、審問期日に同席します。
  • 加えて、破産管財事件となれば、管財人からの要請にこたえて、破産者の調査義務の履行を援助し、債権者集会に破産者と同席したりします。

・自己破産手続における管財事件というのはどのようなものでしょうか?

  • 自己破産手続の申立を行った破産者が、換価基準をこえる財産を保有している場合や免責不許可事由に該当する可能性があると考えられる場合、裁判所が破産管財人を選任し、破産管財事件として処理されることになります。
  • 破産管財人は、まず、換価できる財産については処分を行って、債権者に対して分配する手続きを行います。
  • また、破産管財人は、自己破産を申立てた方の状況について調査を行い、免責不許可事由がないのか、もしくは免責不許可事由があっても、裁量免責を行うのが相当であるのか等の免責調査を行うことになります。
  • なお、管財事件となる場合には、裁判所が決定した予納金を裁判所に納付しなければ、破産手続が進められません。予納金は、最低20万円以上必要とされています。

・自己破産手続における同時廃止手続というのはどのようなものでしょうか?

  • 自己破産の申立を行った者が、みるべき財産を有しておらず、免責不許可事由にも該当していないと思われる場合などに、財産を一切換価処分せずに、破産手続開始決定と同時に破産手続を終結させてしまうという手続が、同時廃止という手続です。

・自己破産手続において、同時廃止手続になる場合と管財事件になる場合とはどのような基準で判断されるのでしょうか?

  • 同時廃止手続になる場合と管財事件になる場合を分ける判断は、裁判所が行うこととなり、その判断は多くの事情を考慮してなされることになりますが、福岡地方裁判所が基準として挙げているもののうち、主なものを以下では紹介します。
  • 『破産管財事件とされる場合』・法人代表者型債務者が法人の代表者の地位にあった場合で、債務者が代表者の地位にあった法人について法的整理がなされていない場合・個人事業主型債務者が現に個人事業を営んでいる場合や過去(原則として6か月以内)に営んでいた場合・資産調査型保証債務や住宅ローンを除いた債務が3000万円以上ある場合・否認対象行為調査型偏頗弁済行為や詐害行為などの否認対象行為に対して否認権の行使をするかどうかの調査をする必要がある場合・免責調査型裁判所が免責の拒否を判断するために、管財人による免責不許可事由の有無及び裁量免責の相当性についての調査が必要な場合・財団形成型不動産の売却や不当利得返還請求により財団の形成を図る必要がある場合
    予定退職金などについて長期の積み立てを必要とする場合『同時廃止事件とされる場合』・上記の破産管財事件とされる場合以外で、破産手続き開始決定時に、債務者の財産が50万円に満たない場合で、かつ申立が債務者によりなされた場合

・自己破産を申し立てた場合、持っている財産は全て失うことになるのでしょうか?自己破産手続きをした場合にも、いわゆる自由財産として、自分のもとに残すことができる財産があると聞きましたが、それはどのようなものでしょうか?

  • 自己破産の申立を行ったとしても、自由財産として、自分のもとに残すことができる財産については、最終的には具体的な事情に応じて判断されることにはなりますが、福岡地方裁判所が基準として挙げているもののうち、主なものを以下では紹介します。
  • 以下に挙げる財産は、換価せず自由財産とされるものとされています。
    1. ① 99万円までの現金
    2. ② 残高合計が20万円以下の預貯金
    3. ③ 生命保険解約返戻金(返戻金の見込額合計が20万円以下のもの)
    4. ④ 自動車(処分見込み額が20万円以下。初年度登録から5年を経過したものについては、外車または排気量2500ccを超えるものでない限り、処分見込み額は0円とみなす。)
    5. ⑤ 居住用家屋の敷金返還請求権
    6. ⑥ 電話加入権
    7. ⑦ 退職金債権のうち、支給見込み額の8分の7に相当する額(8分の1に相当する額が20万円以下である場合には、当該退職金債権の全額)
    8. ⑧ 家財道具
    9. ⑨ 差押を禁止されている動産又は債権

・自己破産手続きをすることで、借金を支払わなくてよくなるということですが、いかなる場合にも、借金を支払わなくてよくなるのでしょうか?

  • 自己破産の申立をする場合には、自然人についてはほとんどの場合、いわゆる「免責」といって、負債の支払いを免れることを目的とすることがほとんどです。
  • この「免責」は裁判所の「免責許可決定」を受け、それが確定することによって受けられるのですが、「免責」が受けられるには、破産法252条に定められている、いわゆる「免責不許可事由」が存在しないことが条件となります(免責不許可事由について別の質問参照)。
  • また、上記の免責不許可事由がある場合にも、裁判所は、「裁量免責」といって、裁判所の裁量で、免責を認めることができます。例えば、ギャンブルが原因で破産することになってしまった場合でも、破産申立の際に正直に申告し、破産管財人の調査に誠実に対応するなどすれば、裁量免責を受けられることがあります。ですので、仮に、免責不許可事由があったとしても、ご自身の現状に鑑みて、自己破産申立しか、経済的な立ち直りの道がないということであれば、自己破産の申立を行い、裁量免責が受けられるように努力するのも一つの方法であると考えます。

・免責不許可事由には、どのようなものがありますか?

  • 免責不許可事由には、以下のようなものがあります(破産法252条1項)。
  • 財産の隠匿・損壊・不利益処分その他不当な価値減少行為(1号)破産者が、債権者を害する目的で、破産財団(破産開始決定時の破産者の財産で換価処分の対象となる財産)を隠したり、壊したり、不当に安く処分するなどの不利益処分をした場合不当な債務負担行為、換金行為等(2号)破産手続きの開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分した場合例えば、支払い不能を回避するために(金融を得る目的で)、クレジットカードのショッピング枠の現金化を利用する行為などがあたります。非義務的偏頗行為(3号)特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的または他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法もしくは時期が債務者の義務に属しない場合例えば、特定の債権者にだけは迷惑をかけられないという考慮から、法的義務がないのに不動産を担保に供したり、返済期限前に債務を支払ったりする行為があたります。賭博・浪費その他射幸行為による財産の減少等(4号)賭博・浪費その他射幸行為をしたことによって、著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合例えば、競馬・競艇・パチンコ・パチスロなどのギャンブル(賭博)、買物などによる浪費、その他株取引・FX取引・投資など射幸行為によって、多額の損失を出し、それが原因で自己破産申立をせざるを得なくなった場合などが当たります。詐術を用いた信用取引(5号)破産手続開始の申立があった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得した場合例えば、支払不能や債務超過状態であるにもかかわらず、それを認識していながら、支払不能状態にはないという嘘をついて取引先を誤信させ、商品を納品させたが結局自己破産申立にいたり、商品代金を支払うことができていない場合などがあたります。業務帳簿等の隠滅・偽造・変造(6号)業務や財産に関する帳簿・資料・証拠等を隠したり、破棄したり、又は偽造・変造した場合。あくまで、故意に隠滅等をした場合ですので、過失により失くし舞った場合には、免責不許可事由とはなりません。虚偽の債権者名簿等の提出(7号)裁判所に対して、特定の債権者を故意に除外した債権者一覧表を提出するなど、虚偽の債権者名簿や債権者一覧表を提出した場合には、免責不許可事由に当たります。あくまで、故意に虚偽の記載をした場合ですから、過失により誤記があった場合などは免責不許可事由に当たりません。裁判所に対する説明拒絶・虚偽説明(8号)裁判所や破産管財人が行う調査に際して、説明を拒んだり、虚偽の説明をした場合には、免責不許可事由になります。あくまで、説明の拒絶や虚偽の説明をすることですから、記憶違いや忘れてしまっていて、結果的に事実と異なる説明をしただけである場合には、免責不許可事由には該当しません。不正の手段による破産管財人等の職務執行妨害(9号)不正の手段により、裁判所が選任した破産管財人、破産管財人代理、保全管理人、保全管理人代理の職務執行を妨害した場合例えば、暴力や脅迫的な言辞によって、破産管財人、破産管財人代理、保全管理人、保全管理人代理の職務を妨害した場合などが、免責不許可事由に該当します。当然のことながら、法的に認められた手段で、破産管財人等の職務執行に異議を申し述べることは何ら免責不許可事由には該当しません。過去の免責許可決定日から7年を経過していないこと等(10号)従前、免責許可の決定を受け、確定した場合、その確定の日から7年以内に免責許可の申立てがあった場合、またはかつて給与所得者等再生において再生計画認可決定を受けたことがある場合に、その認可決定確定の日から現在の免責許可の申立て日まで7年を経過していない場合、かつて個人再生においてハードシップ免責許可を受けた場合に、その免責許可決定確定の日から現在の免責許可申立て日までに7年を経過していない場合破産者の義務違反行為(11号)破産者が、債権者集会等で破産に関して必要な説明をしなければならない義務(破産法40条1項)に違反した場合、破産者の重要財産開示義務(破産法41条)に違反した場合、裁判所又は破産管財人が行う免責調査に協力する義務(破産法250条2項)に違反した場合、その他破産法に定める義務に違反した場合
  • なお、上記の免責不許可事由にあたるかどうかについては、判断が難しいことも多く、免責不許事由についての判断で、自己破産申立をするかどうか迷われたら、まずは当事務所にご相談ください。

・自己破産手続きをすれば、全ての債権者からの請求を免れることができるのでしょうか?

  • 自己破産手続きを行い免責決定を得たとしても、支払を免れることができない債権があり、そのような債権(いわゆる非免責債権)について、破産法253条1項に規定されています。

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