預金口座の差押え

2019/12/24
預金口座の差押え

債権回収・売掛金回収 預金口座の差押え

預金口座の差押え

【弁護士会照会(23条照会)を利用すれば、預金口座を差し押さえる場合に必要な相手方債務者の口座情報について開示が受けられます】
 
裁判で勝ったにも関わらず、債務者(支払いを求める相手のこと)が任意に支払いをしてくれない場合、裁判所に強制執行を求めて債務者の財産を差し押さえることができます。これを強制執行といい、強制執行ができる財産には、大きく分けて次の3つがあります。
 

  • ① 不動産
    土地や建物のことです。
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  • ② 動産
    不動産以外の現金や有価証券、宝石、時計などがこれに該当します。
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  • ③ 債権
    債務者が第三者に対して持っている請求権のことをいいます。
     
    具体的には、債務者がサラリーマンである場合の給与債権(差押え禁止の範囲を除く)、預貯金を持っている場合の預金債権、債務者が第三者にお金を貸している場合の貸金債権、債務者が第三者に土地や建物を賃貸している場合の賃料債権などがこれに該当します。
    ③の債権執行で、給与差し押さえと並んでよく利用されるのが、預金口座の差押えです。

 
預金口座を差し押さえれば、判決や和解調書に基づく回収すべき金額の範囲内に限って、差押え時の預金残高を銀行から直接回収することができます。ですので、債務者の預金口座に預金残高があれば、まとまった額の債権を回収できるという大きなメリットがあります。
 
ただし、強制執行における債務者の財産の特定は、債権者において行う必要があります。
 
この預金口座の差押えを行う場合は、差し押さえようとする口座の銀行名や支店名、預金の種類、口座番号を特定しなければなりません。
 
しかし、任意に支払いをしようとしない債務者本人から直接預金口座の情報を聞き出すのは難しいでしょうし、銀行等の金融機関に口座情報の開示を求めても、個人情報保護や守秘義務があるという理由で第三者からの開示請求には任意には応じてくれません。
 
このとき、私ども弁護士は、弁護士会照会を利用し、受任事件の相手方債務者に対する強制執行を目的として、銀行等の金融機関から債務者の預金口座の情報について開示を受けることができます。
 
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の3)です。
 
この弁護士会照会を利用すれば、預金口座の差押えの前提として必要な債務者の預金口座の情報(口座の有無、支店や種類、口座番号、回答日現在の預金残高)を得ることが可能です。
 
なお、法務省は現在、民事執行法の改正を目指しており、裁判所を通じて債務者の預金口座情報を特定できる新制度の導入について検討を始めています。
 
検討中の新制度は、債権者が特定した銀行等の金融機関に対して、裁判所が債務者の口座情報(口座の有無や支店名、預金残高)を照会し、その回答を義務付けるというものです。この新制度が導入されれば、金融機関は守秘義務や個人情報保護等を理由に口座情報の開示を拒むことはできなくなります。
 
これまで、裁判に勝ったにもかかわらず、債務者の預金口座が特定できないために強制執行による債権回収ができず、泣き寝入りせざるを得ないという事案が少なくありませんでした。
 
しかし、この新制度が導入されれば、銀行名などの金融機関を特定する必要はあるものの、預金口座の差押えに必要な口座情報の特定についてはハードルが低くなり、より強制執行を行いやすくなると思われます。
 
これによって、今まで以上に債権者の権利が保護され、不払いが多く発生しているような事案、例えば、離婚後の養育費や売掛金、貸付金、賃貸借などをめぐるトラブルなど裁判で確定した債権回収の問題に大きく役立つことと思います。

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