共有物不動産をめぐる紛争とその解決方策
このようなことでお困りではありませんか?
- ア 親から相続した土地を購入したいという話があったので、自分は売却したいけど、兄弟との共有になっていて兄弟からは売却の同意が得られなくて困っている
- イ 遺産相続の際に、遺留分減殺請求を行い、土地を兄弟間で共有しているが、広大な土地でもあるし、実際に分筆して共有持ち分に応じて単独所有の土地複数に分けたいけど、どうにかしたい
- ウ 共同で事業を行うために不動産を共同で購入して共有名義としたけど、共同で行っていた事業を止めるので、共有関係を解消したいので何とかしたい
- エ 兄弟で共有している土地を駐車場として貸し、収益を分配してきたが、年齢のこと、今後の相続のことを考え、共有者の数が増えると管理が煩雑になるため今のうちに共有状態を解消しておきたい
- オ そもそも共有物不動産の管理、使用、収益をいかにしていくのでしょうか。
このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度弁護士法人高田総合法律事務所にご相談ください。
弁護士が、共有者のうちの一人または複数の方からのご依頼をお受けして、①交渉、最終的には②共有物分割請求訴訟(民法258条1項本文)を行って共有状態の解消をお手伝いします。
共有(名義)不動産とは、その発生原因は
共有(名義)不動産とは
共有(名義)不動産とは、一つの不動産を「持分」という割合(全体の内の3分の1とか、10分の2など)で複数の共有者が持ち合う状態をいいます。
これは各々が持分割合の範囲で所有権を持つことであり、一つの不動産の「どこの部分を所有する」というものではありません。
ですので、3分の1の共有者でも、「共有物の全部」を使用することができます。
他方、民法249条に規定されていますように「持分に応じた使用」となりますので、共有者間で協議が必要となり、その協議ができないときには、共有持分の割合に応じた使用が求められることになりますが、同じ共有不動産を複数の者で所有(共有)・管理していることから、様々な法律上の問題等が生じることになります。
共有物不動産の発生原因について
上記「このようなことでお困りではありませんか?」の事例に端的に反映されていますように、 共有物不動産は相続(上記ア、イ)を原因として、共同購入・共同管理(上記ウ、エ、オ)等を原因として生じます。
かかる事案では共同相続人間あるいは共同購入・共同管理者間の関係が良好な状態にある時は自主的に解決できる場合もありますが、一旦関係がこじれると、「相続」が「争族」に変容するように親族間や共同購入・共同管理者の共有問題・トラブルが解決困難な問題となります。
かかる事案では親族間の共有問題・トラブルの解決は第三者が間に入り、意見調整をすることが良い結果につながるケースが多いものです。
不動産の権利状況・利用状況、土地の大きさ・地形、建物の有無、当事者間の交流状況などにより解決方法は様々です。
共有者に相続が発生すれば持分権利はさらに細分化・複雑化することが予測されます。
先送りしないことが大切と考えます。
このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度弁護士法人高田総合法律事務所にご相談ください。
共有物不動産を巡る紛争の解決方法
共有物不動産を巡る紛争の解決方法には、共有物不動産の共有関係の維持を前提とするものと、共有関係の解消することにより解決していく方法があります。
前者では、共有物不動産の管理、使用、収益をいかにしていくかなどが問題となり、後者では、共有関係の解消(離脱)方法やその手続等が問題となってきます。
共有関係の維持を前提として、その共有物不動産の使用方法等を巡る紛争の解決方法
(1)共有物不動産の使用方法は共有者間でどのようにして決定(合意)されるのでしょうか。
共有物不動産を維持・管理していく上で、持ち分権者1人だけでできる場合と全員でないとできない場合、共有者の過半数が必要な場合があることをご存知ですか。
使用方法の意思決定(合意)は、変更・処分行為、管理行為(狭義)、保存行為に3つに分類でき、法律は以下のように定めています。
- ア 保存行為は、持ち分権者1人だけでできる場合(民法252条但書)
- イ 管理行為(狭義)は、共有者の過半数の意思決定が必要な場合(民法252条本文)
- ウ 変更・処分行為は、共有者全員の同意が必要な場合(民法251条)
ア 保存行為等(他の共有者の同意不要、単独でもできる場合)
保存行為とは
保存行為とは、共有不動産の現状を維持するための行為をいいます。
他の共有者に不利益を与えない行為であるため、その同意は不要とされています。
例)共有不動産の修繕
無権利者に対する①明渡し請求(共有不動産を不法に占有する第三者に対する明渡請求)②抹消登記請求(共有不動産の登記に存在する無権利者に対する抹消登記請求などの妨害排除請求などがあります。
自己の持分の処分
また、自己の所有権である「持分の範囲」であれば、他の共有者全員の同意がなくても自由に処分ができます。
したがって、自己の共有持分権利を他の共有者や、外部の第三者に売却し、担保権の設定することもできます。
ただし、第三者が買うということは「自由に利用できない共有不動産」と知ったうえで買うわけですから、価格は安くなるでしょう。
それをビジネスとして買取りをしている専門業者もいるようです。
ただ、外部の第三者が買えば、持分のある所有権者として共有者間に介入するわけですから、トラブルに発展することも多分に考えらます。
イ 管理行為(狭義)(共有者の過半数の意思決定が必要な場合)
管理行為(狭義)とは
管理行為(狭義)は、共有不動産の性質を変えない範囲内の①利用行為(共有不動産の性質を変更せずに収益を上げる行為)②改良行為(共有不動産の性質を変更せずに交換価値を増加させる行為)です。
管理行為(狭義)の意思決定は、共有者の共有持分の価格の過半数で決することになりますので、共有者が例え共有持分2分の1を有していても、管理行為はできず、他の共有者の同意を得て2分の1を超える過半数の意思決定が必要となります。
下記事例は管理行為(狭義)に該当するでしょうか。
a. 賃貸借契約の締結・更新
賃貸借契約の締結・更新は、一般論としては、管理行為に該当するとされていますが、短期賃貸借を超える、借地借家法の適用があるなどの負担が大きい場合は、処分行為に相当するため、共有者全員の同意が必要とされています。
例)
- ・資材置き場として5年内の短期賃貸借契約の締結は管理行為となり、共有者全員の同意ではなく、共有者の共有持分の価格の過半数で決することになります。
- ・通常の建物の賃貸借契約では、原則として借家となり、借地借家法の適用があるので、その意思決定は管理行為ではなく、変更行為となり、共有者全員の同意が必要となります。
b. 共有不動産の賃貸借契約の解除
賃貸借契約の解除は管理行為(狭義)に分類され、過半数を有する共有者は賃貸借契約を解除できるとされています。
したがって、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができるとする「解除権の不可分性」(民法544条1項)の適用はありませんが、過半数を有しない共有持分の2分の1しか有しない共有者からの契約の解除は認められないことになります(最判昭和39年2月25日(民集18巻2号329頁)
c. 共有不動産の賃貸借契約における賃料の変更
共有不動産の賃貸借契約における賃料の変更については管理行為というべきであるとされています(東京地判平成14年7月16日金融法務1673号54頁)
d. 賃借権の譲渡の承諾
賃借権の譲渡の承諾は、原則として共有者に格別の不利益を被らせるわけではないから、賃借権の譲渡が新たな賃借権の設定と同視されるなどの特段の事情がない限り、共有者の共有持分の価格の過半数を有する共有者の同意があれば足りる管理行為というべきであるとされています(東京地判平成8年9月18日判時1609号120頁)
上記共有不動産の賃貸借契約の賃貸人は誰になるのですか。
賃貸借契約の締結・更新や解除に反対した共有者は、賃貸借契約書の名義人として記載する必要があります。
例)
A、Bが賛成 Cが反対でも、上記行為が管理行為として過半数で意思決定がなされれば、その決定に賛成していないCも決定内容に拘束されるので、賃貸借契約上にも、その状況を明確化しておくことが望ましいとされています。
解除の通知も同様です。
なお、解除の通知行為は共有者代表として通知を行う授権者がいる時、その者が解除の告知をします。
その定めがないときは、共有者全員の名義で、各共有者が単独でできるとされています。
ウ 変更・処分行為(他の共有者全員の同意が必要な場合)
意義
変更・処分行為は、「管理(狭義)」以外の処分行為全般が含まれ、解釈としては、①物理的変化を伴う行為(対象物の性質を変える程度の行為)と②法律的に処分する行為いずれかに該当する行為とされています。
「他の共有者全員の同意」を得なければなすことができません。
例
① 物理的変化を伴う行為
土地が共有の場合:土地の利用形態・形質の変更(田畑を宅地に造成する工事)、土地上への建物の建築など
建物が共有の場合:家屋取り壊し、大規模改造、新築への建替えなど
② 法律的に処分する行為
所有権を失う契約(共有不動産全体の売却、贈与)、用益物権(地上権、地役権など)、担保権(抵当権等)の設定などがこれに該当します。
この点、例え、親族間の共有不動産であっても、他の共有者の合意を得ずに強行することは財産を侵害することとなり、トラブルの原因になりますので意思の統一が重要です。
共有者(4分の3)の共有不動産全部のYへの売却行為と、その売却に関与していない他の共有者X(4分の1)からの共有持分権に基づくYへの明渡請求の有無
最高裁判決昭和57年6月17日(裁判集民事136号111頁)は、下記のようにYへの明渡請求を否定しています。
Xを除く3名の共有者とYとの間の売買契約においてはその対象たる土地部分が具体的に特定しているとはいえず、Yが共有持分権を取得したものとはいえない(最判昭30年6月24日(民集9巻7号919頁)。
しかし、建物所有によるYの敷地占有は、4分の3の共有持分権を有する共有者との間の売買契約の履行過程における右共有者の承認に基づくものであるから、たとえ右承認が共有者Xの協議を経ないものであつても、右敷地につき4分の1の共有持分権を有するにすぎないXは、当然には、Yに対し建物の収去とその敷地部分の明渡を求めることはできない。
なお、共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の少数持分権者である共有者に対する共有物の明渡請求を否定している最高裁昭和41年5月19日判決(民集20巻5号947頁)(民集9巻7号919頁)との均衡上も、共有者X(4分の1)から共有持分権に基づくYへの明渡請求は否定されるといわれています。
共有者の一人が建物に居住する共有不動産の紛争
以下では、共有不動産の紛争の中で判例上問題されたケースにつき説明いたします。
通常は共有者同士には親族などの特別な関係があり、共有者間の関係が良好であれば問題は生じません。
また、共有者間で使用方法を話し合って決められていれば、その合意に従うことになります。
ただ、実際には、共有者の間の特殊な事情(例えば、親族関係、共有不動産の入手の経緯、従前の状況など)で、明確な合意がない、明確な合意に達しないことも多いとされています。
これが、共有不動産の構造的な紛争原因ともいえます。
実務では、黙示の合意で共有不動産の居住者の保護が図られています。
また、共有者間の良好な関係が悪化すると、例えば、非居住共有者からの明渡請求や賃料相当損害金の請求がなされることもあります。
判例では、原則として、明渡請求は否定され、金銭請求のみが認められています。
(1)共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の少数持分権者である共有者に対して共有物の明渡請求の有無
最高裁昭和41年5月19日判決(民集20巻5号947頁)は「共有物の持分の価格が過半数を越える者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
少数持分権者は自己の持分によって、共有物を使用収益する権原を有し、これに基づいて共有物を占有するものと認められるからである。」としています。
上記判例のように、各共有者は、共有不動産の全部を使用する権原があるため、全くの無権限ではありませんが、単独で共有不動産を占有する具体的な権限はありません。
この点、共有者全員で共有者Aが占有・使用すると合意した場合に、共有者A以外の共有者Bが占有しているなどの特殊事情がある場合には、Aから共有者Bへの共有物の明渡しが認められる場合があります。
(2)1人で占用・使用する共有者に対する金銭請求
最高裁平成12年4月7日判決(裁判集民事198号1頁)は、「不動産の共有者は当該不動産を単独で占有することができる権原がないのにこれを単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて占有部分に係る賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することができる。」としています。
ただし、不動産に相続前から親Xと同居していた者(子供A)に対し、親X死亡後、当該不動産を共同相続した子供Bからの賃料相当損害金の請求について、最高裁平成8年12月17日判決(民集50巻10号2778頁)は、「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになるものというべきである。」として、子供Bからの賃料相当損害金の請求が否定されています。
(3)内縁の夫婦の死別後に1人で占有・使用する者に対する金銭請求等
当該不動産を相続したBは、内縁の夫婦X・Aの死別後に1人で占有・使用するAに対する明け渡し請求、金銭請求に対しも、最高裁平成10年2月26日判決(民集52巻1号255頁)は、「内縁の夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情のない限り、両者の間において、その一方が死亡した後は他方が当該不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認するのが相当である。」と判示して、Bの明け渡し請求、金銭請求いずれも否定し、残された内縁の妻の居住を保護する解釈を示しています。
経費分担、収入分担、管理方法などをめぐる共有の収益不動産の紛争
経費分担について
ア 共有不動産に関する負担
各共有者は、共有持分に応じて、①管理の費用(共有不動産の維持、利用、改良のための必要費・有益費、②その他の負担(共有不動産の存在から直接生じる費用を負担します(民法253条1項)。
例)
必要費としては、老朽化に対する修繕費用等
有益費としては、通路のコンクリート敷設、電灯設置等
その他の負担としては、固定資産税等があります。
なお、共有不動産の水道・光熱費は建物の維持に必要不可欠とはいえないから共有不動産に関する負担とはいえないとされています。
イ 共有不動産の経費の負担に関する求償
共有不動産に関する負担は、実際には共有者の1人が全額を支払って、その後、共有者の内部で分ける場合が多いです。
例えば、上記固定資産税をAが全額支払い、他の共有者B・Cにその負担部分である3分の1ずつを請求(求償)していくことになります。
ウ 共有持分買取権の行使
共有者Aが、他の共有者Bに、共有不動産に関する負担の求償を請求しても、それに応じないときは、相当の償金を支払ってその応じない共有者Bの共有持分を買取ることも認められており(民放253条2項)、共有持分買取権に基づく所有権移転登記請求もできます。
なお、求償金の請求(催告時)から1年経過すると共有持分買取権の行使ができなくなります。
収入分担について
ア 共有の収益不動産における賃貸借には紛争の種あり
賃貸借は、単独でも多くの管理業務を伴います。それが共有となると、共有者内部の利害が衝突し、管理業務がスムーズに遂行できないことが多くあるとされています。
以下では、特に、共有の収益不動産の賃料に関する紛争について説明いたします。
イ 貸人が複数である場合の賃料債権など
① 賃料債権は可分
賃貸人である共有者間で特に合意がない場合、賃料債権は可分債権として、各共有者が共有持分割合相当の金額を賃借人に請求できます(下記最高裁平成17年9月8日判決)。
〈賃貸人の相続と賃料の帰属〉
最高裁平成17年9月8日判決(民集59巻7号1931頁・判例タイムズ1195号100頁)は「相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。」としています。
したがって、
- ・相続開始後から遺産分割完了までの間は相続人全員に相続分割合で帰属
- ・遺産分割完了後は当該不動産の承継者に帰属する
ことになります。
例えば、相続開始後から遺産分割完了までの間に特定の口座に振り込まれていた賃料は、遺産とは別個の財産となり、共同相続人がその相続分に応じて当然に分割単独債権として取得し、その口座に振り込まれた残金は清算されることになります。
なお、預金債権について、遺産分割の対象性を肯定し、可分債権としての性質を否定した平成28年12月19日の大法廷判決は上記最高裁平成17年9月8日に影響を与えるものではないと考えられるといわれています。
また、相続開始前に生ずる賃料債権であれば、共有者間で特に合意がない場合には、賃料債権は可分債権として、各共有者が共有持分割合相当の金額を賃借人に請求できます。
その共有者に相続が生じればその相続人に分割承継されることになります。
② 保証金等返還債務の不可分性
過去に預かった貸主の保証金・敷金の返還債務は不可分債務と考えられているようです(大阪高裁昭和54年9月28日判決・判例タイムズ401号81頁・判例時報954号40頁))
ウ 賃借人が複数である場合の賃料債務などはどうなるのですか。
① 賃料債務の不可分性
判例は、不動産の賃貸借契約において、契約締結時に賃借人が複数であった場合または、単独の賃借人に相続が生じて、複数の相続人が賃借人になった場合も、貸す債務は、性質上不可分の給付であり、賃料債務は不可分給付の対価であるため、賃料債務も不可分となるとしています。
ただし、特約があれば別です。
② 既に発生している賃料債務は可分
上記のとおり、一般的な賃料債務は不可分債務として扱われますが、前から既に発生している過去の賃料は可分債務とされ、相続開始時に既に発生していた賃料債務については、一般的な金銭債権として分割して相続するとされています(最高裁昭和34年6月19日判決参照)
使われていない共有不動産のコストの負担
不動産に関するコストには、①固定資産税、都市計画税②建物修繕、解体のコスト、樹木の伐採などの切除、剪定費用
法的リスクとしては、空き家の老朽化により第三者に発生した被害の賠償(例えば、倒壊、火災の発生等)
このような使い勝手のよくない共有不動産に関する根本的な紛争解決の方向は共有関係の解消をすることです。
その方法としては、①共有物分割請求②共有持分放棄があります。
共有物分割請求すると、換価分割となり、競売に付されることになりますが、上記のような共有不動産だと、入札者が現れない可能性があります。
共有持分放棄も考えられますが、他の共有者に押し付ける状態になるため、他の共有者は登記申請に協力しないことが多いとされています。
そのため、登記引取請求をすることになることもあるようです。
共有関係の解消をしないで、その共有不動産の活用方法を再検討することが有用な場合もあります。
例えば、太陽光発電用地として賃貸するなどです。
共有関係の解消の必要性について
共有不動産のすべてではありませんが、不動産の新たな利用変更や、売却・換金の計画においても、共有者全員の意思統一を図ることは困難が多いものです。
親族間の交流が疎遠の場合ではなおさらでしょう。
また、相続を重ねるたびに持分権利は細分化・複雑化が考えられ、ますます不動産資産としての問題点は増えるばかりです。
何らかの整理に着手しなければ現状維持のままです。
そのようなケースでは交渉が長期にわたる場合や交渉がまったく進展しない残念なケースがあることも事実です。
かかる状態を改善・解消していくには共有不動産の権利調整が必要となります。
共有不動産の権利調整とは、土地建物の実態・共有不動産の利用状況・持分割合・過去の経緯・親族間の交流状況などを勘案のうえ、共有者間の「有益な土地利用」や「売買・換金」などの目的に向けて、または共有問題やトラブルの解決を図ることでもあります。
共有不動産のすべてではありませんが、共有状態の解消をすることにより、将来の財産承継も円滑になります。
かような事案では共有の解消をお勧めしております。