任意整理 具体例
任意整理の具体例
例えば、Xさんは、A社(100万円)、B社(60万円)、C社(40万円)、D社(150万円)、E社(50万円)の5社から合計400万円の負債があり、月々約定の返済額を支払うと合計で17万5000円ほど返済をしなければならない状況であったとします。
ところが、毎月そのような返済原資を確保するだけの収入がなく、返済ができなくなったXさんは、弁護士に相談することにしました。
相談を受けた弁護士は、Xさんの負債総額が400万円程度であること、Xさんの収入と支出の状況から、毎月8万円程度の返済原資の確保が可能であると判断いたしました。
そこで弁護士は、その8万円を債権額に応じて各債権者に分配し、A社からE社に対して、返済案(合意案)を提案します。
これについての債権者からの問い合わせや要望を踏まえて、交渉し条件を微調整しながら、全体の返済計画と個別の債権者との合意書を作成します。
以下の表では、わかりやすいように、債権者ごとの条件の微調整は反映させていませんが、概要としては、「任意整理後返済額」に記載の条件で返済ができるように、依頼者に代わって弁護士が交渉し、実際に合意書の作成まで行うということになります。
また、以下の「任意整理後返済額」には、返済スタート後の利息は一切無しという前提での分割となっております。
この点については、実際に私ども弁護士法人高田総合法律事務所で任意整理をする場合に、この将来の利息は支払わない前提での合意をすることがほとんどです。
負債額 | 約定返済額 (契約通りの返済額) | 任意整理後返済額 | |
---|---|---|---|
A社 | 100万円 | 4万2000円 | 2万円×50回 |
B社 | 60万円 | 3万6000円 | 1万2000円×50回 |
C社 | 40万円 | 2万2000円 | 8000円×50回 |
D社 | 150万円 | 5万円 | 3万円×50回 |
E社 | 50万円 | 2万5000円 | 1万円×50回 |
合計 | 400万円 | 17万5000円 | 8万円 |
任意整理に要する期間
任意整理をするメリットとして、任意整理は法的手続きに比べて迅速にできることをあげました。
それでは、比較的迅速に解決できるとして、任意整理をするためには、どの程度の期間がかかるのか、具体的にご説明します。
任意整理にかかる期間は、債権者の数によりますし、毎月の返済可能額にもよります。もっといえば、債権者がどのような会社か、どのような人物なのかによっても異なってきます。
しかし、私ども弁護士にご依頼されてから、返済に関する合意書の作成完了までの期間は、概ね2~3カ月くらいが標準ではないかと思います。
そこで、まず任意整理を検討されている方は、当事務所にご相談にお越しいただき、具体的な債権者数や債権者、用意できる返済原資を伝えて、どのくらいの期間かかるのか、お尋ねください。
あくまで、見通しとしてということにはなりますが、想定される期間をお伝えします。
任意整理での合意後、返済について
私ども弁護士法人高田総合法律事務所では、任意整理により債権者と合意に至った後の返済については、ご依頼者様から直接返済いただいております。
すなわち、債権者との合意書の作成までで当方の委任事務は終了とさせていただき、その後の返済についてはご依頼者様と債権者との間で直接行って頂くこととしております。
なお、任意整理の委任事務は債権者との合意までとなっておりますが、債権者と合意した後に、事情の変更でお支払いが困難となってしまうことなどもあるかと思います。
そのような場合、再度その時点で当事務所にご相談頂ければ、どのように解決していくのがよいのか、共に考えさせて頂きますので、ご気軽にご相談ください。
任意整理を試みたが、債権者と合意に至らない場合
任意整理により債権者との合意を形成しようと試みても、当方が望む返済案と相手方が望む返済案との間に差異があり、交渉による合意が見込めないことがあります。
その様な場合、私ども弁護士法人高田総合法律事務所では、基本的に、簡易裁判所に特定調停を申し立てます。
任意の交渉ではなかなか返済案についての差異が埋まらない場合であっても、特定調停を申し立てることで、裁判所を通じて妥協点を見出すことができる場合があるからです。
債権者との交渉が、2~3カ月くらい経っても硬直状態の場合には、特定調停の申し立てを検討なさることをお勧めいたします。