成年後見制度を利用するにあたって
※なお、任意後見契約は、公正証書の形式で作成しなければなりません。また、任意後見人は、本人が元気なうちにあらかじめ選任するのですが、後に任意後見人が職務を行うべき時がきた際には、任意後見人は家庭裁判所が選任した任意後見監督人による監督を受けるということになります。
→任意後見契約書のサンプル
成年後見人(成年後見人、保佐人、補助人)の職務・義務
善管注意義務(民法869条、644条)
成年後見人には、その事務を遂行するにあたっては善管注意義務(善良なる管理者の注意義務といわれ、自己のためにすると同一の注意をなす義務よりも重い義務といわれています。)があると解されています。
すなわち、成年後見人には、高度の注意を持って本人の財産を管理する義務が課せられており、その義務を万一怠った場合には、損害賠償責任を負うことになることから、注意が必要です。善管注意義務の具体的内容① 成年後見人には、被後見人の財産調査を行い、財産目録を作成する義務があります(民法853条)。② 被後見人の生活、療養、財産管理等に必要な費用を計算する等して、財産の管理計画を立てる義務があります。③ 被後見人の財産を適正に管理し、その管理状況を常に記録して、定期的に(最低でも1年に1回)家庭裁判所に報告する義務があります。
意思尊重義務と身上配慮義務
成年後見人は、本人の身上監護に関する事務、財産管理に関する事務、いずれの事務を行うに際しても、できる限り本人の意思を尊重し、本人の心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない義務を負っています(民法858条)。
これらが、意思尊重義務と身上配慮義務と呼ばれるものです。
見守り義務
成年後見人は、上記の意思尊重義務や身上配慮義務を果たすために、本人を訪問したり、電話や手紙で連絡を取るなどして、継続的に本人の状況把握に努める義務があります。このような義務が、見守り義務と呼ばれるものです。
自己執行義務
成年後見人は、その職務を遂行するにあたって、基本的にはその事務を自ら遂行すべき義務があると解されています。このような義務が、自己執行義務と呼ばれるものです。
もっとも、厳格に全ての事務について自己執行義務があるということではなく、事務の遂行にあたって、相当な範囲内で誰かに事務の遂行を手伝ってもらうことは可能です。
当事務所と弁護士がお手伝いできること
成年後見申立の援助
申立書類の作成、各種添付資料の収集、家庭裁判所の調査官による調査期日への立会い、等の成年後見申立の援助を行っています。
また、成年後見人に就任する方が、第三者の弁護士等の専門職である場合に、必要があれば、身上監護や財産管理に関する注意点をできる限り引き継げるように尽力します。
保佐、補助開始の申立の援助
保佐開始の申立においては、法定の事項を超えて保佐人の同意権を定めたり、保佐人に一定の事項について代理権を与える旨定める等することが適切である場合があります。そのような場合に、同意見や代理権の範囲について、ご本人の状況に応じて裁判所に申し立てをすることにより、適切な本人保護を図ることができるように支援します。
弁護士が後見人に就任する場合
成年後見の申立をする際に、訴訟提起により詐欺業者から財産を取り戻したい場合、被後見人親族後見人の候補者いずれも相続人となる相続問題を抱えている場合、親族後見人候補の方がみなさん御高齢等の理由で適切な候補がいない場合、等様々な理由により、親族の方が後見人に就任するよりも、弁護士が後見人に就任した方がいいと判断される場合に、就任することに問題がないようであれば、当事務所の弁護士が後見人候補者となることができますので、一度ご相談ください。
なお、後見人の候補になることを引き受けた場合に、そのことだけで弁護士費用を頂戴することはありません。