2021/06/13
個人再生 個人再生の種類
個人再生手続の種類と要件の違い
個人再生手続には、「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」があります。
この2つの手続は、それぞれ利用できるための要件が異なります。
1.小規模個人再生手続
【申立ての際に必要な要件】
- ① 債務者が個人であること
- ② 破産の原因(支払不能等)が生じるおそれが認められること
- ③ 再生債権の総額が5000万円を超えないこと
- ④ 継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
【再生計画の認可をうけるにあたって必要な要件】
以下の事由がないことが認可の要件になります。
- ① 再生手続又は再生計画に重大な法律違反があり、しかも、その不備を補正することができないものであること
- ② 再生計画遂行の見込みがないこと
→この要件が実務的には一番重要になります。 - ③ 再生計画の決議が不正の方法によって成立したこと
- ④ 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反すること(清算価値保障原則)
- ⑤ 債権者の数および債権額で2分の1以上の不同意がないこと
2.給与所得者等再生手続
【申立ての際に必要な要件】
- ① 債務者が個人であること
- ② 破産の原因(支払不能等)が生じるおそれが認められること
- ③ 再生債権の総額が5000万円を超えないこと
- ④ 継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
→給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあること(定期的な収入の額の変動の幅が小さいこと、すなわち変動率が20%以下であることが目途とされています。)
【再生計画の認可をうけるにあたって必要な要件】
以下の事由がないことが認可の要件になります。
- ① 再生手続又は再生計画に重大な法律違反があり、しかも、その不備を補正することができないものであること
- ② 再生計画遂行の見込みがないこと
→この要件が実務的には一番重要になります。 - ③ 再生計画の決議が不正の方法によって成立したこと
- ④ 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反すること(清算価値保障原則)
- ⑤ 可処分所得要件
→再生計画において弁済する債務の総額が、個人再生をする人の可処分所得の2年分以上でなければならないとの要件(可処分所得要件)があります。
可処分所得とは、大まかに言えば、収入から税金、社会保険料、生活費等を差し引いた金額で、いわゆる自由な使途に使えるお金のことです。給与所得者等個人再生の手続においては、この可処分所得の2年分以上のお金を再生計画において弁済することが必要とされています。もっとも、給与所得者等個人再生手続きにおける可処分所得の算定方法は、該当する個人の実際の可処分所得ではなく、政令で決められた生活費を基に計算していくことになります。
※小規模個人再生手続きと異なり、債権者の意向については、再生計画認可のために必要な要件とされていません。
→給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みが要件ですので、再生計画を履行できる可能性が高いことから、債権者の意向に関係なく、裁判所が再生計画を認可することができるのです。