遺言無効確認訴訟におけるポイント
遺言が有効か無効かについて、相続人間に争いがある場合、遺言の有効性を確定するための裁判手続きとして、「遺言無効確認訴訟」という訴訟類型があります。
遺言の無効原因としては、①方式違背(民法960条)、②遺言書の偽造(自筆証書遺言の自筆性)、③公序良俗違反(民法90条)、④遺言無能力、⑤錯誤無効、詐欺取り消し等の意思表示の取り消しなどがあります。
このうち実務上最も問題となる遺言無能力を争う訴訟について、ポイントとなる点を簡単にご説明します。
まず、遺言能力の有無については、①遺言時における遺言者の精神上の障害の存否、内容及び程度、②遺言内容それ自体の複雑性、③遺言の動機・理由、遺言者と相続人又は受遺者との人的関係・交際状況、遺言に至る経緯といった諸事情を総合考慮して判断されることになります。
このうち、②遺言内容それ自体の複雑性は遺言書自体が証拠となることと思われますが、それ以外の例えば①遺言時における遺言者の精神上の障害の存否、内容及び程度については、医師の診断書、診療録、看護記録、関係者の供述録取書、等の証拠を準備・検討することとなります。
また、③遺言の動機・理由、遺言者と相続人又は受遺者との人的関係・交際状況、遺言に至る経緯といった事情を立証するため、遺言者の日記やメモ、関係者の供述録取書、等の証拠を準備・検討することとなります。
訴訟となればこれらの証拠等を踏まえて判断がなされることとなることから、その見通しを立てる上でもこれらの証拠の検討は必要なポイントとなります。