損害賠償命令の効果
損害賠償命令の効果は、命令について適法な異議がないときは、確定判決と同一の効力を有します。
すなわち、被告人が賠償命令の結果を受け入れて異議を出さなければ、通常の民事裁判で損害賠償を請求し、勝訴判決を得て確定したのと同じ効力が認められているのです。
具体的には、賠償命令を受けた者が自らの意思で支払いをしない場合に、加害者の財産に対して強制執行をすることができるようになります。
強制執行をすることができるというのは、具体的には、預貯金を差し押さえたり、不動産を差し押さえたり、給与を差し押さえたりして、債権の回収を図ることができるということです。
また、犯罪被害者と加害者という場面ですので、時効に関する効果も重要になることがあります。
すなわち、民事裁判で判決が出たのと同様の効力ということですから、判決が確定した時から「10年間」は時効になりません。
犯罪被害の場合は、いわゆる不法行為ですから、民事裁判や賠償命令申立をしなければ、「損害および加害者を知った時から」「3年」で時効になってしまいます。
しかし、賠償命令が確定すれば、そこから10年間は時効でなくなってしまうことはありません(例えば、加害者が刑務所で服役したとして、出所後に損害賠償請求をしたところ時効を主張されるのを防ぐためにも意義があります)。